患者脳トレーニング

緩和ケアの作品を読む―学び育てあう医師と患者の関係

患者やその家族しか持てない(持たない)視点を知るために

今でこそ一般にも知られるようになった緩和ケアの概念ですが、わずか十数年前までは、“治すことができるがん”こそが治療の対象であるとする考え方が医師の間でも主流だったようです。治る見込みのないがん患者に対して医療ができることは何なのか? 緩和ケアは患者を救う“医療”になり得ないのか?という命題に切り込んだ医療漫画作品『ブラックジャックによろしく』のエピソードに対し、実際のがん患者はどういった感想をもつのでしょうか。患者だからこそ感じる細やかな視点や疑問点を、埼玉県杉戸地区を中心に活動されている「がん患者会シャローム」の皆さんにお聞きしました。

植村さんに感想をいただいたエピソードの要約です。
ぜひ原典にも触れてみてください。

本の紹介

『ブラックジャックによろしく』 単行本第8巻より

対象作品:佐藤秀峰
『ブラックジャックによろしく』
単行本第8巻より

漫画 on Web

あらすじについて

末期がん患者・辻本に、未承認薬での治療の提案を受け入れてもらえず行き詰っていた研修医・斉藤は、辻本の担当医で自身の指導医でもある抗がん剤のエキスパート・庄司が、かつて、抗がん剤否定派の医師・宇佐美と共に一人の患者に未承認薬を使用し、不幸な結末に終わったことを打ち明ける。
辻本の希望で面会した宇佐美は、辻本に生への執着を捨てることを促し辻本を絶望させる。宇佐美の言葉に激昂した斉藤は「生と向き合うことは死と向き合うことと同じではないか」と強く反発する。
面会後、辻本は庄司に「がんと向き合うために」未承認薬を使いたいと申し出る。「患者と向き合うために」それを了承した庄司は、宇佐美と和解し協力して緩和ケアに当たる。そして、庄司は辻本との対話を通し、ただの延命ではなく患者の心を満たすという目的で抗がん剤を使う意義に、宇佐美共々目覚めていく。
夏休み直前、残りの時間を家族と一緒にいたいという辻本の願いに応える形で、庄司は辻本を退院させる。詳細な紹介状をしたためた斉藤は、辻本に感謝されながらその姿を見送る。
やがて夏の終わり、家族が見守る中、安らかに息を引き取る辻本。しかし、庄司は未承認薬使用目的でのカルテ改ざんが発覚し、病院を追われてしまう。無力感にさいなまれる斉藤だったが、宇佐美の「その手は無力か」という言葉に奮起し、研修の総括として緩和ケアの必要性を強く訴える。斉藤の訴えは教授の心を動かし、緩和ケア科の開設が決定。立ち上げメンバーとして戻ってきた庄司は、宇佐美と並び立ち、斉藤に微笑むのだった。

Interview私はこんな感想を持ちました

がん患者会シャローム 代表 植村めぐみさん、副代表 増田しのぶさん、会員 小林真理子さん

がん患者会シャローム 代表
植村めぐみさん 写真右
自身のがん闘病(摘出手術・化学療法)を経て、2006年、地域に根ざすがん患者会シャローム(埼玉県杉戸町)を設立。現在はがん患者のみならず、家族や遺族、再発・転移患者の集いの場を設けるなど、精力的に活動を続けている。
植村めぐみさんのHP

副代表
増田しのぶさん 写真中央
肺がんの手術・化学療法を行った後、再発。現在はがんを抱え治療を受けながらも植村さんと共に患者会の活動に注力している。

会員
小林真理子さん 写真左
がん闘病をきっかけに同会に入会し、摘出手術後は闘病する仲間を支える立場としても活動を続けている。

聞きたくない医師の言葉

エピソードは、がんの転移後、根治の見込みがない事実をつきつけられ、主治医の庄司や斉藤への不信感を募らせていたがん患者・辻本さんが、自宅で倒れ再び永大附属病院に運び込まれたところから始まります。辻本さんのベッドサイドで治療の継続を勧める斉藤は、とつとつと自分が抱いている思いを辻本さんにぶつけます。

思いつめたように自分の思いを吐露する斉藤。辻本を「治す」ことができないことを知り、そこから先の「治す」以外の道を漠然と模索している。 対する辻本の顔は無表情で感情は読み取れない。

思いつめたように自分の思いを吐露する斉藤。辻本を「治す」ことができないことを知り、そこから先の「治す」以外の道を漠然と模索している。
対する辻本の顔は無表情で感情は読み取れない。

小林 このシーン、もし私だったら、医師が自分のそばにつきっきりでいてくれて嬉しいと思うんです。けれども「教えてください…僕にできる事は何ですか?」という問いかけには強烈な違和感があって…。

増田 私もです。どうして患者に聞くの?自分で考えて!って、すごく思いました。

小林 「あなたはどうしたいと考えていますか?」と聞くのが筋じゃないかって。その上で、それを叶えるためにどうすればよいか考えるべきで、患者に聞かないで! 混乱してしまう! あなたのための私(患者)ではないんだから、と思うんです。

植村 斉藤医師の勇み足や焦りを感じますよね。がんを治してあげようという心意気はありがたいけれど、治らない場合ももちろんあることに対して、斉藤医師自身のなかに“ 最善を期待し、最悪に備える”という意識がなかったと思える。そんなところへ「僕にできる事は何か?」って言うのはやっぱり違うかなと。

増田 ほかにも、患者を混乱させるような医療者側からの言葉が次々出てくるんです。絶対に言ってほしくないと思うような…。

抗がん剤を使用せずがん患者の苦痛を取り除くことを専門とする宇佐美と辻本さんの初対面シーンでは、宇佐美は特段の前置きなく「医学とは、いかに死と向き合うかを考える学問なのです」「治らないことを前提とした死との向き合い方があるんじゃないですか?」「死は敗北ですか?」と矢継ぎ早に続けます。

10年前にがんで婚約者を亡くして以来、同じ問いを患者に繰り返す宇佐美。彼は、その答えを持っていない。 辻本の流す涙には『突きつけられた死』と『死にたくないという気持ち』が混濁している。医師の個人的な過去にとらわれた発言が患者を追い詰めているシーンだ。

10年前にがんで婚約者を亡くして以来、同じ問いを患者に繰り返す宇佐美。彼は、その答えを持っていない。
辻本の流す涙には『突きつけられた死』と『死にたくないという気持ち』が混濁している。医師の個人的な過去にとらわれた発言が患者を追い詰めているシーンだ。

増田 治らないことを突然宣告され、死にたくないという気持ちが強い今の辻本さんに、これはあまりにもひどい! もう、宇佐美医師をぶんなぐりたいくらいです。その人らしい死との向き合い方、最善の生き方を患者と共に考え、患者と共に学び合っていくものが医学であってほしいと、私は思います。

小林 いかに死と向き合うかを考えることは、医学の一部ではあるけれども、一部でしかないですよね。こんなふうに一方的に医師個人の迷いを患者にぶつけてどうするのって、私も本当にものすごく腹が立ちました。

植村 私は2人とは捉え方が違って、宇佐美医師は正論を言っていると思うんです。辻本さんにとって、あまりにも斉藤医師や庄司医師から「治る」ことだけを目指した情報提供しかされてこなかったことのほうが問題で、だからこそ、突然、宇佐美医師に問われてものすごく衝撃を受けるわけですよね。私はむしろ斉藤医師に対して怒りの感情を覚えました。

増田 でも、患者に言っていいことと悪いことがある。「死とは一体何ですか?」なんて、 心を土足で踏まれたような言葉の暴力で、実際には絶対にあってほしくないです。

植村 私は患者会の会長として医療者の意見を聞くことが多いから、考えが医療者寄りになっているのかな? 患者側なのに、おかしいですね(笑)。

三者三様の捉え方からは、医療者が患者に「根治が望めないがんである」ことや「根治を目指す以外の選択肢」を伝えることの難しさが垣間見えるようでもあります。

緩和ケアに対する医療者の認識

本作品が第6回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞した2002年は、WHO(世界保健機関)が緩和ケアの定義を発表した年でもあります。漫画の作中当時、まだ緩和ケアに対する認識が医療者の中にも浸透していないことを端的に表す場面があります。

「先生、私のがんは治りますか?」の問いに「治りません」と正直に答えた庄司。抗がん剤のエキスパートとして描かれる庄司は、治せない=治療対象ではないという考えから先に進めていない様子が描かれている。

「先生、私のがんは治りますか?」の問いに「治りません」と正直に答えた庄司。抗がん剤のエキスパートとして描かれる庄司は、治せない=治療対象ではないという考えから先に進めていない様子が描かれている。

小林 「治せない以上、ここから先に医療は踏み込めない」という庄司医師の言葉です。今はがんとの共存やQOLを保ってどう生きるかを考えることが当たり前になっているせいか、今読むとすごく嫌な感じがして…。

植村 緩和も医療だものね。ただね、残念ながら今も緩和を医療と捉えていない人が多いのが実態だと思います。

そうした趨勢にありながら、辻本さんはがんから逃げずに向き合うことを決意し、未承認薬(当時)のTS-1を使いたいと申し出ます。

治る見込みがなくても、「がんを一生懸命考えたい。がんから逃げたくない」という思いからTS-1を使いたいと言う辻本。単なる治療目的とは異なる抗がん剤の使い方が、患者から示される。辻本の言葉が庄司の考え方に与えたインパクトの強さが庄司の表情からみてとれる。

治る見込みがなくても、「がんを一生懸命考えたい。がんから逃げたくない」という思いからTS-1を使いたいと言う辻本。単なる治療目的とは異なる抗がん剤の使い方が、患者から示される。辻本の言葉が庄司の考え方に与えたインパクトの強さが庄司の表情からみてとれる。

がんという病気を克服することに心血を注いできた庄司が、辻本と出会い、斉藤の熱意に押され、緩和ケアにも目を向け始める。 庄司にとって、宇佐美と共に辻本と最期まで向き合うことは、過去の呪縛と対峙し、医師として乗り越えようとする決意表明にもみえる。

がんという病気を克服することに心血を注いできた庄司が、辻本と出会い、斉藤の熱意に押され、緩和ケアにも目を向け始める。
庄司にとって、宇佐美と共に辻本と最期まで向き合うことは、過去の呪縛と対峙し、医師として乗り越えようとする決意表明にもみえる。

増田 これまで受け身で治療を受けてきた人が、自発的に治療を選び取っていく、自分で道を切り開いていく、この患者さんはすごい人ですよね。なかなかこういう風にはいかない。

小林 そう、一見どこにでもいそうなおばさんなのに、賢くて頭のいい人だと私も思いました。

がんの痛みやだるさを取り除くといった、延命やがんの縮小以外の目的で抗がん剤を使う道があってもよいのではないか——辻本さん自らの強い決意に、治らない患者を切り捨ててきた自身の価値観を揺さぶられる庄司。葛藤を抱えながらも、絶縁状態にあった宇佐美との関係を自ら修復させ、病名を偽装せねば使用できないTS-1の投与を決断し、辻本さんの望みである「家族と過ごしたい」という思いを支えていくようになります。

医師の心を動かし育てる患者の言葉

1人の患者の生き様を通して変わっていく庄司。変わることを拒まず受け入れる強さが患者を救っていく。思わず涙が溢れ出る辻本。患者が医師を育て、医師が患者を育てる。双方の心が通じ合う瞬間が描かれている。

1人の患者の生き様を通して変わっていく庄司。変わることを拒まず受け入れる強さが患者を救っていく。思わず涙が溢れ出る辻本。患者が医師を育て、医師が患者を育てる。双方の心が通じ合う瞬間が描かれている。

増田 私自身の経験なのですが、実は最初、今の主治医とすごくウマが合わなくて。診察のときも目も合わせてくれないし、すごく冷たい雰囲気の先生だったんです。

植村 でも、増田さんは一生懸命先生に手紙を書いたりして、“主治医を味方につけるための努力”をすごくしたんですよ。

増田 最初は主治医を変えてほしいくらいに思っていたけれど、どうしても自分の気持ちをわかってほしくて。自分の畑で採れた野菜を持って行ったりして、患者であり生活する一人の人間として先生に関わっていったんです。先生ご自身が病気をされたこともあって、そういう過程を経て徐々に距離が縮まっていって、今では診察時もニコニコ笑ってくれて。

植村 増田さんが主治医を変えたんだと私は思います。金品とかそういうことでなくて、歩み寄る努力を患者側もしなければ。残念ですが「お金払ってるんだからやってもらって当然」のような考えの患者もいるのです。でもそうではないんです、がん治療というのは。

増田 今は、CT検査でがんが小康状態なら、先生に握手してもらうんです。最初は言い出せなかったけれど、「先生のおかげでよくなって嬉しいんです、先生と握手するだけで次も闘う勇気が出るんです」ってお願いしたら、いつの間にか先生から握手してくださるようになって。

植村 漫画の中でも、辻本さんの生き様が庄司医師を変えていく。「僕はあなたのように生きて、死んでいきたいです…」 ——こんなにぬくもりがあって患者冥利につきる言葉はないですよね。だって、あなたによって学びましたって言ってもらっているのだから。こうして学び育ち合う信頼関係ができていくことは、本当に理想的なことだと思います。

小林 斉藤医師も、未熟ながらも最期まで親身になって辻本さんを思いやって、彼も成長していく。宇佐美医師もペインコントロールの手腕を遺憾なく発揮して辻本さんをサポートしていく。すごくいい緩和ケアが提供されたと思います。

植村 緩和ケアはれっきとした医療であり、最期まで尊厳ある生をまっとうするために絶対に欠かせないもの。私はがんで亡くなる方を多く目の当たりにしてきて、「どうせ死ぬなら、準備できるがんがいい」といった考え方には共感できないんです。けれど辻本さんのように、信頼し合える医師に寄り添ってもらえるなら、それもいいかな…、なんて思いました。

小林 辻本さん本人は知らないけれども、結果的に緩和ケア科の設立という、社会を変えるような、人の役に立った生涯になりましたよね。だから私は辻本さんにも「ありがとう」と言いたいです。

基礎知識

緩和ケアの始まりと定義

1970年代中頃のカナダで、初めてがん末期患者のケアを目的とした緩和ケア病棟が開設されました。その後、WHO(世界保健機関)が国際的な論議を重ね、2002年に緩和ケアの定義を発表しました。日本では、2013年、特定非営利活動法人日本緩和医療学会が、緩和ケアの正しい認識を広げることを目的に、WHOの定義を分かりやすく、短い言葉で表現する説明文を発表しています。

世界保健機関(WHO)の緩和ケアの定義(2002年)
緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に発見し、的確なアセスメントと対処(治療・処置)を行うことによって苦しみを予防し、和らげることで、QOLを改善するアプローチである。

日本緩和医療学会の説明文(2013年)
緩和ケアとは、重い病を抱える患者やその家族一人一人の身体や心などの様々なつらさを和らげ、より豊かな人生を送ることができるように支えていくケア。

緩和ケアの現状と問題点

緩和ケアの対象となるのは、主にがん治療です。日本では、がん対策基本法により、がん診療連携拠点病院には、緩和ケアチーム、緩和ケア外来の設置が義務付けられています。緩和ケアチームは、疼痛、呼吸困難などの身体的苦痛や、不安、気分の落ち込みなどの精神的苦痛など、病気に対する治療や病気の進行に伴う苦痛や症状を緩和し、よりQOLの高い療養生活を支援することを目的としています。がん診療連携拠点病院の整備、緩和ケアチームや緩和ケア外来の義務化などで、緩和ケアの基盤が整いつつあるかのように思えますが、課題も少なくありません。病床数の不足や、緩和ケアの技術に長けた医師、看護師、薬剤師などの人材不足の課題は深刻です。緩和ケアに取り組む国の姿勢ははっきりしてきましたが、現状は施設も医療スタッフも足りていないというのが、日本の緩和ケアの実情です。

緩和ケアを受ける患者の生命倫理的な問題

緩和ケアを巡る生命倫理的な問題を3つ提示します。

  1. 患者の権利や尊厳に関する問題
    安楽死や自殺幇助などの終末期をめぐる患者の意思決定や、患者の事前指示の問題があります。患者自身が意思決定できないような場合に、重要な問題を患者が事前に決めておく法的文書「事前指示書」があります。事前指示書を作成しておけば、患者は自身が希望する治療を受けることができますが、事前指示書を書くことを、いかに患者に説明するか、といった問題もあり、普及はあまり進んでいません。
  2. 医療者の義務や決定に関する問題
    患者への医療情報の開示、真実をどのように知らせるか、というコミュニケーションの問題が発生します。医療者と、患者または家族との生命に対する価値観の対立などが発生することがあります。真実をいかに患者にダメージを与えないように伝えるか、その答えはないかもしれません。
  3. 医学的治療・ケアに関する問題
    終末期の医療をどうするか、といった問題も出やすくなります。苦痛をもたらす医療行為は続けるべきかどうなのかなど、医療者側と、患者や家族の希望が分かれた場合、その対応、処置は難しいものとなります。

参考文献

  1. ブラックジャックによろしく(佐藤 秀峰)
  2. 特定非営利活動法人日本ホスピス緩和ケア協会webサイト
  3. 緩和ケア.net
  4. ホスピス・緩和ケアをめぐる生命倫理(鶴若麻理/長寿社会グローバル・インフォメーションジャーナル 4, 20-22, 2007)

時代背景に関する注意点として

本記事の題材『ブラックジャックによろしく』は、2002年から2006年に渡って連載されたマンガ作品で、主人公の研修医の視点を通して、当時の日本の大学病院や医療現場の現状が描かれています。
がん診療の進展は文字通り日進月歩であり、連載当時から10年以上の月日がたった今、がん告知のありかた、がん化学療法、がん化学療法の副作用対策なども大きく変わりました。
例えば、マンガに登場するTS-1は、代謝拮抗剤に分類される抗がん剤です。この医薬品は連載当時も保険収載されていましたが、膵がんが適応外でした。現在では、胃がん、大腸がん、頭頸部がん、乳がん、膵がん、胆道がんなど、さまざまな固形がんに幅広く用いられています。また近年では、新たに開発されている抗がん剤の大半を分子標的治療薬が占めており、その中でも免疫チェックポイント阻害薬が特に注目を集めています。
マンガの中では抗がん剤の激しい嘔吐などの副作用に苦しむ姿が描かれますが、制吐剤の進展や患者さんの悪心・嘔吐の制御についての研究も進み、2015年には制吐薬適正使用ガイドラインも作成され、患者さんの苦しみも改善されてきています。
また、2004年に新医師臨床研修制度がスタートしていますので、2002年の時点で、主人公の研修医は現在の臨床研修制度とは異なる制度の下で研修をしていることも補足しておきます。
このように、がん診療をめぐる環境は、連載当時と大きく変化していますが、患者さんの持つ悩み・苦しみは変わりません。
国民の2人に1人ががんになる時代、この記事が患者さんやその家族の視点を考えるきっかけになれば幸いです。

(2018年11月 編集部)